「論点ってよく聞くけど、ちょっと何言ってるか分かんない」
「ケース面接対策って、いわゆるケース本だけ読んでて良いのかな・・・」
「とりあえず仮説思考と論点思考は読んどけって言われました」
サンドウィッチマン富澤さんばりのスットボケをかます諸君、ごきげんよう。
「論点、論点、そんなこと言われても・・・こっちはケース面接が迫っているんだよ・・・ケースの勉強しないといけないんだよ・・・」
と思っていませんか?
そう思ってました、過去の私も。
結局のところ、そんな読者の諸君にとっての論点は「この本はどのようにケース面接に活かせるのか?」ではないだろうか?
「その通りだぜミスター!」
と思っていただけた方は、是非このまま読み進めていただきたい。必ず役に立つと断言する。
簡単に導入をさせていただく。この記事を執筆したのは、以下の3名だ。
- 外資系戦略トップ3(マッキンゼー、BCG、ベイン)をはじめとして、著名戦略コンサルティングファーム、ファンド総計10社の内定を獲得したパンダ
- 医師から外資系戦略コンサルへと転職したウサギ
- 外資コンサルにて戦略~実行支援まで幅広い経験を持つキリン
そして「論点思考」の著者情報はこちら。
さぁ導入はこれくらいにして、ドンドコ解説していく。
サマリ
問題解決力とは重要なスキルである。
しかし、問題解決力というと正しい答えを出すという点に注目されるが、正しい答えを出すことよりも、正しい問題を解くことの方がより重要なのだ。
そのために、熟練したコンサルが使っている技術が「論点思考」である。
論点とは、「成果をあげるための真の問題」のことである。
この論点を正しく設定することが、問題解決における最上流に位置する工程である。
そして、この真の問題を定義するプロセスを「論点思考」と呼ぶ。
最初に論点設定を間違えると、間違った問題に取り組むことになるので、その後の問題解決の作業をいくら正しくやったところで意味のある結果は生まれない。
論点思考
さて、ケース面接において、
「あなたは正しい問題を解けているだろうか?」
論点とは何か
経営における最も重大なあやまちは、間違った答えを出すことではなく、間違った問いに答えることだ
ピーター・ドラッカー
論点、論点・・・
ちょっと何言ってるか分かんないす
私の中のサンド富澤が今にも暴れ出しそうである。そんな中、
まだ焦るような時間じゃない
どうやらキリンの中の、スラムダンク仙道がなぐさめてくれたようだ。
さて、落ち着いたところで、論点の全体像をお示しする。
論点とは、上記の問題解決プロセスの全体における、「最上流」工程に位置している。
世の中に溢れる「問題解決」の本は、この問題設定(つまり論点設定)ではなく、解決策の立案という「中流」工程から解説していることがほとんどである。
「そもそもどのような問題に対する解を出せば、課題解決となるのか?」という問いを立てることが重要となる。
論点についての概説は以上だ。ここからは、「ケースにどのように活かせるのか?」という問いに対する解をお伝えしていく。
ケース面接にどのように活かすか
まずはじめに、この場ではフェルミ、ケースを一纏めにしてケースと統一して呼ばせていただく。
というのも、フェルミ推定とケースを完全な別物と捉えている方をよくお見かけするが、頭の使い方としては限りなく近いので、ひとまとめにして解説する。
高い視座、鳥の目で見れば、両者は同じような構造となっており、根底にある考え方は同じなのである。
なので以下で解説する内容は、フェルミ、ケース共に共通事項である、と認識いただきたい。
問題を解く前に、本当に解くべき問題を定義する
ケースで提示された問題は、そのままの状態では解くべき問題となっていない。
どういうことか?
それは、「誰が、何を、なぜ解きたいのか?」といった点が不明確だからだ。
よく分からない方も多いと思うので、まずはこちらの問題をご覧いただきたい。
【問題】
AさんとBさんの前にケーキが一つある。二人が納得するようにケーキを二つに分けたい。さて、どのように分けたら良いだろうか。
さて、どのように解けばよいだろうか?
「どうしたら正確に半分にできるか?」
と考えてはいないか?
もしそのように考えると、
- 半分に切るにはどこにナイフを入れるべきか?
- クリームの量、イチゴの位置等を検討する必要があるか?
なを回答とすることになるだろう。
正解は、
【正解】
Aさんができるだけ半分になるように切り分け、Bさんに好きな方を選ばせる。
断っておくが、これは別にトンチではない。
今回の問いは、以下のような前提があるからこそ、上記の回答となる。
- 誰 → AさんとBさん
- 何 → ケーキを半分にする方法を知り、実行したい
- なぜ → 平等にしたい
何が言いたいかというと、この前提によって同じ文章の問題であっても、180度問題の性質が変わってしまうということだ。
そもそも誰が解きたいのか?を明確にする
ケースにおいては、前述のように必ず「誰が解きたいのか?」を明確にすることを徹底していただきたい。
諸君らが麦わらの何とかであれば
当たり前だ!!!!!
と叫ぶかもしれないが、落ち着いて欲しい。
これは何度言っても言い過ぎることはないが、「誰」を定義せずにケースを始める方が後を絶たないのでお伝えしている。
「誰」か定義されていない問題というのは、「そもそも問題設定という最上流のプロセスで間違いをおかしている」ということを強く認識いただきたい。
このように話すと、あなたは当たり前のことと感じるかもしれない。ところが、実際にあなたが問題解決を図ろうとするときは、えてして、誰の論点を解いているかを忘れてしまう。
上流~下流という概念を理解せよ
先ほどから最上流とか、下流とか・・・「剣士かよッ!」と思われている諸君、これは失敬。
これから上流~下流ということについて、説明をさせていただこう。
下記に上流→下流の例を挙げた。
何かのプロセスを、川の流れに例えたものだと思っていただければ良い。
まるで、川が上から下に流れるように、上から伝達され、下で実行されていく、といったイメージだ。
上記で3つ例をあげたが、いずれにも共通するのは、「上流で間違えると、下流は当然誤ったことを実行することになる」ということ。
これをケースに当てはめて考えよう。
このように言えると思う。
この部分で間違えると、前述のようにこれ以下の部分、すなわち中流~下流は全て間違ったものになる。当然ロジックは破綻しっぱなしとなり、面接官からのツッコミは厳しいものとなって〇✕△・・・
気を付けましょう。
論点を構造化、フレームワーク等で網羅的に洗い出す
問題によって、それに関連ありそうな引き出しを開ける。
私の引き出し(工具箱)には、さまざまな内容が入っている。例えば、次のようなものだ。・3C分析
・ポーターの5つの競争要因
・ポーターの3つの基本戦略
・バリューチェーン分析
・PPM分析
・製品ライフサイクル
・ロジャースの普及理論
・コトラーの競争地位別戦略
・アンゾフの成長マトリックス
前提を確定させた後、現状を整理・分析していき論点を探していく。
その際に上記のようなツール、定跡を活用して整理していく。
フェルミで言えば、因数分解の切り口の設定部分にあたる。
諸君らの「引き出し」から複数の切り口を洗い出し、その中で比較検討した上で、面接官に提言するべきだ。
これが必要な理由は簡単だ。
「論点を構造化して、網羅的に洗い出す」という、まさしく内田さんの実践されているコンサルタントの仕事そのものであるからだ。
これが論点では?という当たりをつけ、仮説を出す(仮説思考)
このやり方で進めていくと、論点はどんどん細分化される。その結果、どれが重要な論点なのかが曖昧になってしまったり、すべての論点に答えを出そうとして袋小路に入り込んだりしてしまう。
このようなやり方ではなく、これこそが取り組むべき問題ではないか、この問題を解決できるなら、ほかは犠牲にしてもよいのではないかという優先度の高い論点をえぐりだすのが、「当たりをつける」という考え方だ。
仮説思考というのは、非常に理解が難しいと思っている。
というのは、仮説という言葉を聞くと、「無の状態から生み出す」ようなイメージを持つ諸君もいるのではないだろうか?
実際は無の状態から生み出すよりは、過去の経験・ストックした知識をベースにして、「こうではないか?ここが肝ではないか?」といった部分に当たりを付ける、という方が正しいと考えている。
話を戻すと、「ここが論点ではないか?」と仮説思考で当たりを付ける。
具体的には、
フェルミ推定においては、複数の因数分解の切り口を洗い出し、「この切り口で深堀りをするのが筋が良いのでは?」と方向性を決めることであり、
ケースの売上向上施策においては、市場の変化・自社のアセット等を考慮すると、「この顧客セグメントについて深掘るのが筋が良いのでは?」といった方向性を決めることである。
将棋には、一つの局面に80通りくらいの指し手の可能性がある。
その80手ある可能性の中から、まず、大部分を捨ててしまう。
そこで、「これがよさそうだ」と候補手を二つ三つに絞るのである。すべての可能性を思い浮かべるのではなく、カメラのフォーカスで絞る感じだ。
決断力(羽生 善治)
仮説を信じ、ドンドコ突き進む
【論点を見つけてから構造化する】
通常紹介されている方法論は、まず課題を構造化し、全体像をつかむことを最優先している。
BCG流のアプローチは、まずこれが問題ではないかという点に当たりをつけることから始める。
そして最後に念のために、間違いがないかを全体像で確認する。ここに論点思考の極意がある。
仮説思考で「これでは」というものに当たりをつけたら、そこをドンドコ掘ってみるのだ。掘っていく中で、検討すべきことが色々出てくるはずで、その際に全体像を把握すれば良い。(とこの本では言っている)
具体的には、仮に「40代の男性セグメント」が肝であると仮説を立てて、ドンドコ進んでみると、市場・競合といった観点を当然考慮する必要がある。
そのように深堀りをしていく中で、「あれ、全体像を考えてみると、市場全体は成長していて・・・20代女性セグメントが大きく成長しているのではないか?」と分かってきたとする。
そうであれば、全体像としてザックリ以下の2つの方向性が見える。
- 40代男性セグメントを攻める
- 20代女性セグメントを攻める
その上で、2つ目の方が筋が良さそうと分かってきて、これが論点ではないか、となる。
ここで注意しておきたいのは、最初に適当に論点を決めているのではなく、一定の構造化をした上で、仮説思考で考えている点である。
『引き出し』の重要性
引き出しは、もともとは自分を相手に印象づけたり、説得するために、「会話の中で使う話題」をしまっておく、頭の中の仮想データベースである。
引き出し、道具箱、定跡、インデックス・・・色んな言い方はあると思う。
これは別の言い方をすれば、知識・経験のストック、語弊を恐れず言えば、ある意味では暗記と言えるだろう。
この暗記をする上で、戦略コンサル内定塾の読者の諸君には、以下の考え方・フローを覚えておいていただきたい。
情報収集 → 抽象化・構造化 → ストック
ほとんどの人は「情報収集」という上流工程のみで終わっている。それでは使える知識にはならない。その後の抽象化・構造化が超重要である。
詳細は以下の本に載っているので、余裕がある諸君は読んでみていただきたい。こちらも元BCGの山口周さんが書かれた本である。
将棋を通して知識を「知恵」に昇華させる術をすべを学んだが、その大切さは、すべてに当てはまる思考の原点であると思っている。
決断力(羽生 善治)
さて話を戻すと、「引き出し」というくらいなので、取り出さなければ意味がない。
どのように取り出すかというと、以下の取り出し方がある。
例えば、売上向上等のケースにおいて、現状について整理・分析している際に、自分の頭の中にある「引き出し」の中で使えるものがないか探すのである。
ケースにおいて、諸君らは十分な引き出しを準備できているだろうか?
事例:「富士山を動かすにはどうすればよいか?」
さて、最後に以下の問題について、考えてみていただきたい。
チクタク・・・チクタク・・・
うーむ・・・ふむふむ・・・フジサンヲウゴカス・・・
「さて、3分経ちましたがいかがでしょうか?回答はできましたか?」
はい!
余裕ですね。
・・・(やヴぁ)。
さて、ここでよくある回答事例を見てみよう。
まぁこんなところだ。
実はこの問題は「ビル・ゲイツの面接試験」という本に載っており、一応の回答としては、「富士山の土をトラックで移動させる。そこで、富士山の土等を移動させるのにどの程度の時間がかかるかフェルミ推定で算出する」とのことだ。
しかし、ここまで読んでくれたビル・ゲイツ並みの頭脳の諸君なら、こう言っていることだろう。
てか、そもそも論点って何だっけ?
これって誰が解きたいんですかね?
Amazing!
もう私から何も言うことはない。
というわけにもいかないので、解説する。この問題はまさしく、以下の問題設定、つまり「論点は何か?」がポイントになる良問なのである。
回答事例はいずれも、上記における「解決策の立案」から入ってしまっている。そもそも、その上流工程にある問題設定が違っていれば、極論「意味がない」のである。正解かどうかの判定すら不可能である。
「そもそも誰が、なぜ動かしたいのか?」
この問いが重要である。
一例を挙げると、例えばこれが写真家同士の会話だとしたらどうだろうか?
この写真の富士山をもう少し動かしたいんだよねぇ
もう少し、右に動いて撮影したら、富士山の位置もいい感じになりそうですよね
つまり、
- 誰が→写真家が
- なぜ→写真の富士山の位置がしっくりきていないので、動かしたい
という前提があれば、「右に動いて撮影する」が一つの正解となるだろう。
ケース面接対策なら戦略コンサル内定塾へ
いかがだったろうか?
今回は大変僭越ながら、初学者には少し難しいであろう、BCG元日本代表の内田さんの書かれた「論点思考」を概説した。
我々戦略内定塾も、日々論点と言ったり、「これはそもそも何をやるんだっけ?なんでやるんだっけ?」を口癖にしている。
なお、戦略コンサル内定塾では、MBB含む外資系戦略コンサル出身者による外資戦略コンサル内定率72%のケース・ビヘイビアー面接個別指導も行っている。
「論点思考」を身に着けて戦略コンサルタントとして活躍したい貴方はぜひ以下を参照いただきたい
最後に本書の言葉を引用して締めさせていただく。
論点を設定することにより、考えるべきことが絞られ、問題解決のスピードは上がり、解決策を実行したときの効果も高くなる。