【医師が解説】「医者にならなきゃよかった」の原因と解決策

キャリアの考え方

「医者になってから、毎日仕事に行くのが辛い…ならなきゃよかった…」

「当直、オンコール…こんなに大変だと思っていなかった…」

「ワークライフバランスを保った生活をしたい…」

「医者になったことを後悔している…」

ドクターの諸君。

『医者ならなきゃよかった病』『医者辞めたい病』に罹患してしまってはいないだろうか?

理由は個々人それぞれで異なるだろうが、私も医者を辞めた身なので気持ちはよく分かるのではないかと思う。

そんな中で皆さんは「辞めたい」「辛い」と思ってはいるが、その解決方法がクリアに見えてはいないのではないかと思う。

そこで、この記事では医師を辞め、外資系企業へ転職した私が、このような悩みを解決する方法を解説させていただく。

STEP1|悩みの真因を特定する

50%以上の医学部生・医師は悩んでいる

「医学生の時から医者になりたくないと思い続け,医者になったその日から医者を辞めたいと思い続けてきた人は結構いる」

まずは、このような事実を知ろう。貴方だけではないのだ。

私も医師だが、学生の頃から今に至るまで、一定の割合でこのような悩みを持つ人がいたことを覚えている。

現在でも、私の周りを見てみると、少なくとも3割~5割は辞めたい、もしくはモヤモヤしながら過ごしているように思う。

またデータでもお示しすると、こちらによれば、n=1803で、そのうち6割は「辞めたい」と思ったことがある。

勤務医労働実態調査2017

もう1つ別のデータもお示ししよう。

医師専用コミュニティサイト「MedPeer」調べ

私の経験、①つ目、②つ目のデータを統合すると、5割程度は「辞めたい」と思ったことがあると言って良いだろう。

悩みは一つの要因?複数の要因?

「半分以上が悩んでいるのは分かったよ・・・で、どんな悩みなの?」

と思ったそこの貴方、お待たせしました。

こちらのデータを見てみて欲しい。

『8割が「仕事が好き」と回答! 現役医師に聞いた、「医師」という仕事に対する意識、葛藤とやりがい、その魅力とは?』(株式会社メディウェル運営メディア「エピロギ」より)

次にこのデータを以下のように、整理し直してみた。

<時間>

・当直、オンコールが多い
・長時間労働である
・休日、プライベートの時間が少ない
・家庭と仕事の両立が難しい
・身体的、精神的不調 ※勤務時間の長さによって引き起こされる為こちらに入れた

<お金>

・業務量や勤務時間に対し収入が低すぎる

<人間関係>

・患者や患者家族との人間関係がつらい
・職場の人間関係がつらい

<リスク・プレッシャー>

・訴訟沙汰になった(もしくは訴訟になる不安を感じた)

<能力>

・スキルが伴わない、能力の限界を感じる

<やりがいやフィット感>

・業務内容が自分に合わない
・病気やケガ、生死と向き合うのがつらい、苦痛である
・患者を助けられなかった

なぜこのような整理をしたのかというと、「医者にならなきゃよかった」と考える要因となる悩みは、複数に見えているが、実は大きな括りにすれば同じ要因の可能性があるからだ。

自身でも是非このように整理してみて欲しい。そうすることで、自分の悩みがクリアに見えてくる。

それは本当に解決できない悩みなのか?

悩みを深堀りしていくと、

「医者自体が嫌である」

というのは少ないはずである。

というのは、診療科毎に行う業務が大きく違っているからだ。ゆえに大半の場合は、自分の診療科独自の悩みの可能性があるというわけだ。

あとは、人間関係ですね。これは病院独自、もしくは診療科独自の場合が大半になってくる。

そのように考えると、「医者にならなきゃよかった」という「医者」の部分を広く捉え過ぎていると言えるだろう。

つまり、別の病院、診療科に変われば解決する可能性のある悩みであり、「医者」という観点での悩みでは実はないわけだ。

STEP2|解決方法をリストアップする

各悩み毎に解決方法は異なる

次に解決方法についてお話できればと思う。

全ての「医者にならなきゃよかった」状態の方に、一元的に適応できる解決策はない。というのは、先述のように悩みの真因はそれぞれ異なっているからだ。

先述の悩み一覧に対して、それぞれ簡易的に解決策を示したのが以下だ。

<時間> →病院を変える、診療科を変える

・当直、オンコールが多い
・長時間労働である
・休日、プライベートの時間が少ない
・家庭と仕事の両立が難しい
・身体的、精神的不調 ※勤務時間の長さによって引き起こされる為こちらに入れた

<お金> →捉え方を変える

・業務量や勤務時間に対し収入が低すぎる

<人間関係> →自分が変わる、外部環境を変える

・患者や患者家族との人間関係がつらい
・職場の人間関係がつらい

<リスク・プレッシャー> →リスクヘッジをする、もしくはリスクの低い科、体制の病院へ移動する

・訴訟沙汰になった(もしくは訴訟になる不安を感じた)

<能力>

・スキルが伴わない、能力の限界を感じる

<やりがいやフィット感> →病院、診療科を変える

・業務内容が自分に合わない
・病気やケガ、生死と向き合うのがつらい、苦痛である
・患者を助けられなかった

このままだと、かなり粗い状態の解決策なので、解決策について大きく①「内部的変化」を起こす、②「外部的変化」を起こすという2つに分けてご説明していこう。

内部的変化|現状のままで内面の変化を起こす

内部というのは、環境(病院、診療科等)を変えるのではなく、主に自分、そして周辺を変えてしまうという解決の方向性である。

特にこの解決策が効いてくるのは、<お金>、<人間関係>、<やりがいやフィット感>という悩みになる。

例えば、一つは「歴史から学ぶ」というのが有効だと考えている。つまり、過去に同様の悩みを持っていた人がいたり、もしくはそれ以上に苦しい思いをしてきた人から学ぶという手法だ。

一例として、精神科医のヴィクトール・フランクル先生の「夜と霧」という書籍を読めば、自身の価値観を大きく変えることに繋がるだろう。ナチスドイツの時代に、実際に収容所に収容された経験を生々しくつづった書籍である。私は辛い・苦しいと思った際に、定期的に読み直している。

また、自身の内面、考え方という点で、他人に貢献することは大事で、他人を大切にすることも当然大事である。しかし、それは自分軸を持っていることが前提です。しっかりとした自分軸を作るのが先決だと私は考えている。

何か外れたことをすれば一部から批判もされますが、自分の軸を持ち幸せの基準があれば、ブレることは少なくなるはずだ。

月並みではありますが、ジョブズのスピーチを聞いてみることを推奨する。

外部的変化|環境を変える

こちらはイメージが付きやすいかと思う。

主な方向性としては、次の3つになってくる。

①病院を変える

②診療科を変える

③全く違うことをする

③に関してはなかなか少数派になるかと思うので、①、②が主な解決策の方向性になる。

<時間><人間関係><リスク・プレッシャー>等の悩みというのは、医者を辞めなくとも、病院を変えたり、診療科を変えることで、いくらでも解決が可能である。

狭い視野で見てしまうと、「逃げ場がない」と感じてしまうかもしれないが、働き口というのは、現在(2023年8月18日時点)においてはいくらでもある。

私は外資系企業勤めの経験もありますが、サラリーマンと比較した際の取れる選択肢の幅は圧倒的に広いと言えるので安心して欲しい。

STEP3|短期、中長期的にどうなりたいか考える

先程解決策を網羅的に挙げたので、次は自分自身が「短期・中長期的にどうなりたいのか?」を明確化し、それに照らし合わせて解決策を選べば良い。

それにあたっては、時間をとって「自己分析」をしてみることを強くオススメする。

医師以外の就活においては「自己分析」をすることが当たり前で、これにかなりの時間を使う。

私は外資系企業への就活を経験しているので、当然「自己分析」に時間を大量に投下した。

これは実体験としてかなり良かった。具体的には、自分は「何を大切にしているのか?」「何に幸せを感じるのか?」「将来どうなっていたいのか?」「短期的な目標は何か?」「中長期的に達成したいことは何か?」「自分の強みと弱みは何か?」等の質問に回答を作成していく。

特に、「医師になりたい」という強い思いを持って医学部に入ったわけではないという方にはオススメだ。

「人生これで良いのかな?」

「このまま医者で良いのかな?」

とか、そういう悩みが減っていくはずだ。

そして、自分というものを理解することで、自分のプライオリティ、つまり優先したいことが見えてくるので、自信を持って選択できるようになっていくだろう。

STEP4|行動する

「医者にならなきゃよかった・・・もう辞めたい」

と思っている方は、STEP3までを実施していただいた上で、しっかりと休養を取ることを推奨する。

筆者の経験及び歴史から学ぶと、「疲れ切った時には大事な決断をすべきではない」と言えるからだ。

一番良くないのは、「とりあえず転職エージェントに相談!」みたいな感じで電話することだ。自分の判断能力が弱くなっている時にはオススメできない。

美容ポリクリでは私含め医師が3名おり、悩みに対してWeb会議などで相談に乗っている。ただの悩み相談でも大丈夫ですので、お問い合わせから気軽に相談してみていただきたい。

お問い合わせ
お問い合わせは、LINEもしくは、以下のメールアドレスまでお願い致します。biyou.porikuri@gmail.comお仕事のご依頼も上記からどうぞ。

しっかりと休息が取れた方は、先ほどまでのSTEPを統合し、実際の行動に移していただければと思う。

まとめ

いかがだっただろうか?

新型コロナ程ではないが、「医者ならなきゃよかった病」「医者辞めたい病」「医者なりたくない病」は罹患率が高いように感じている。

私は医師という職業は、本当に素晴らしいと思っているし、取り得る選択肢の幅も非常に広いと思っている。

是非現在悩んでいるという方は、絶望することなく、正しい判断をしていっていただければ幸いである。

コメント

タイトルとURLをコピーしました