「仕事も大事だけど、プライベートも充実させたい」
「仕事したくない、、、」
「QOLが低くて毎日辛い、、、」
限界ポリクリ生、ギリギリで生きてる研修医の諸君、Guten Morgen。
つい大学1年時に鍛え上げたドイツ語がこんちにわしてしまったようだ、失礼。
さて、ポリクリが辛かったり、研修生活がきつくて、こんな悩みを抱えてしまってはいないだろうか?
よく分かる。
なんでかって?
私も経験しているからだ。そんな私のプロフィールはこちらだ。
医師兼会社経営
地方国立医学部⇒初期研修⇒後期研修⇒外資系戦略コンサルティングファーム勤務⇒起業
かつてポリクリの待機室で、「QOL 高い診療科」とググった日を今でも鮮明に覚えている。
しかし、この「QOLの高い診療科は何科なのか」ということに関して、定義を正しく明確にした上で言及している情報源が少ないと我々は感じた。
そこで、この記事ではQOLの定義を明らかにした上で、QOLの高い科、低い科を分類し、図解するという試みを実施した。
それでは、早速興味深い情報をドンドコお伝えしていくッ!
前提
図解を見せる前に、超重要な話を最初にさせていただく。
ちまたで「QOLが高い」「低い」と議論されているが、
「QOLとは何か?」
この質問にクリアに回答できるだろうか?
貴方の回答は、横にいる誰かさんの回答とは、異なっていないだろうか?
どういうことか?
QOLという言葉を使っているが、実は人によってその捉えている意味が異なるのだ。
例えば、QOLとは
「お金がたくさんあって、プライベートの時間がたくさんあること」
と思う人もいるし、
「やりがいを感じれて、人からたくさん感謝されること」
と思っている人もいる。
だからこそ、QOLという言葉の前提を定義してからではないと、正しい図解・解説はできない。
今回解説するQOLとは、以下の2つの評価指標で検討している。
- 労働時間
- プレッシャー(命に関わる度合い、患者さんへの影響度)
見ていただくと分かるが、一旦「お金」という指標や「やりがい」という指標は入れていない。
賛否両論はあるだろうが、他にここまでQOLと診療科の関係について整理した情報はないはずなので、
「参考になるぜ、ミスター!」
と、拝んでいただけると幸いである。
拝む用意ができた諸君は、是非読み進めて欲しい。
【図解】QOL早見表
では、私が長年の旅の末に苦労して編み出した「診療科別QOL早見表」をお披露目しようッ!!
どぅるるるるるるるるるっるるrrrrrrrrr・・・・・(ドラムロ―ル)
でんッ!!!
※自由に引用して使っていただいて大丈夫ですが、かなり苦労して作成しておりますので、①「美容ポリクリ」より引用した旨と、②この「サイトのリンク」の2点を記載した上で引用をお願いします
QOLの最も高い診療科
- ①リハビリテーション科
- ②精神
- ③美容皮膚科
- ④眼科
- ⑤病理
断定的に言及することに抵抗はあるが、あえて言及するとすれば、『「QOLの最も高い診療科」を5つ挙げよ』と言われれば、上記の5つとなるだろう。
基本的に、いずれも急性期疾患が少ない為、時間外勤務が少ない傾向がある。
また、命に関わることは少ないことで、プレッシャーも低い。
【精神科】
業務内容が、他の科と一線を画す感じがある。初診は1時間以上問診したり、とかそういうところである。
また通常の意思疎通ができない方が多いので、そういうのが苦手な人からすると大きな負荷がかかる。外来が多い為、バイトがしやすい。
【美容皮膚科】
美容外科との対比で、メスをいれることはないので、プレッシャーは低め。
給与水準は平均1600万~2200万円程度と、人によっては大きくQOLを高める要素を持っている。
QOLの高い診療科
- 糖尿病・内分泌内科
- 腎臓内科
- 膠原病内科
- 泌尿器科
- 放射線(診断)科
- 感染症内科
- 整形外科
- 麻酔科
- 形成外科
- 美容外科
- 皮膚科
こちらも、急性期疾患が少なく、時間外勤務が少ない。
一方で、全体的に命に関わる側面が高まるので、QOLは「高い」に留めている。
【糖尿病・内分泌内科】
甲状腺クリーゼ、糖尿病性ケトアシドーシス等の緊急を要する病態もあるが、基本的には糖尿病の管理等、慢性的な管理が多い。
【放射線(診断)科】
緊急の読影もあるが、基本的には自分のペースで1人で仕事を進められる。
IVRもやっていると手技や、緊急があるが、診断のみであればQOLは高めと言えるだろう。
また、読影専門医を取得すれば、遠隔読影等のバイトも可能となり、働き方の幅が広がることでQOL向上を目指せるだろう。
【美容外科】
時間外勤務は少ない。基本的に美容クリニックは、10:00-19:00が営業時間となっている為、大幅な残業は発生しにくい。また当然当直、オンコールも存在しない。
一方で、プレッシャーという観点で、命には関わらないが、顔、及び人生への影響度という点が大きく、プレッシャーは大きくなる。
給料に関しては、平均1,800万~2,600万程度と高く、魅力的ではあるだろう。
中間
- 胸部外科
- 消化器内科
- 総合内科
- 神経内科
- 呼吸器内科
- 耳鼻科
こちらは全ての診療科の中間的な立ち位置のグループとなる。
あくまで、プレッシャーと労働時間という2つの評価項目ではあるが、QOLとしては中間に位置すると推定している。
【胸部外科】
外科ではあるが、緊急オペが少ないことがこちらにグルーピングされている最大要因となっている。
実際、ある胸部外科のあるベテランDrが、「呼び出しがないことがこの外科の魅力の一つだから」とおっしゃっていた。
QOLの低い診療科
- 救急
- 小児
- 血内
- 消化器外科
- 産婦人科
このグループを見ると、諸君等も「うんうん、、、確かに」となってくれるのではなかろうか。
救急に関しては、病院により「シフト」の体制も大きく異なり、「QOLは高い」と言う先生もいるが、一般的にはこちらにグルーピングして良いかと考えた。
労働時間だけでなく、プレッシャーに関して、こちらの全ての科で命に関わるレベルが上がっているので高い。
QOLの最も低い診療科
- 心臓血管外科
- 循環器内科
- 脳神経外科
はい。こちら異論はないのではないでしょうか。
どの科もプレッシャー、労働時間共に最高レベルかと思います。
冬になると、どの科もお祭り騒ぎになりますね。
365日オンコール体制なんてところもあったりしますから・・・まぁQOLは低くなるでしょう。
QOLとは
ここで、そもそもQOLとは何かということを再確認していこう。
先述の各診療科の「QOL」は、①労働時間②プレッシャーという2つの評価指標により評価していた。
まずは、厚生労働省の定義を見てみると、
疾患や治療が、患者の主観的健康感(メンタルへルス、活力、痛み、など)や、毎日行っている仕事、家事、社会活動にどのようなインパクトを与えているか、これを定量化したもの
これは、医療に特化した話になっていますね。
次にWHOの定義を見てみると、
一個人が生活する文化や価値観のなかで、目標や期待、基準、関心に関連した自分自身の人生の状況に対する認識
うーん、何だかふわっとしていてよく分からないと思わないか?
厚労省の定義も、WHOの定義も、イマイチピンとはこないので、我々なりにQOLとは何かを定義すると、要するに「その瞬間や一定の期間において、人生を楽しいと思っているレベル」と言えると思っている。
ここで、ポイントになるのは「人生を楽しいと思っている」という部分である。
というのは、人生を楽しいと思う要素というのは、個々人によって大きく異なる。
例えば、循環器内科のバリバリの上級医を想像してもらうと、
「プライベートの時間なんてなくとも、カテーテルをしたり、緊急の対応をしている時にアドレナリンが出て最高なんだ!」
この循環器内科医の場合、「お金」「時間」ではなく、「やりがい」「楽しい」「興味」というのがQOLを規定していることが分かるだろう。
一方で、プライベートの趣味を満喫している眼科の上級医を想像してもらうと、
「定時に帰って、趣味のテニスをしたり、家族とテレビを見ながら食事するのが最高なんだ。休日は家族と旅行に行くことが多いんだよね」
この眼科医の場合、「やりがい」よりも、「お金」「時間」というのがQOLを規定していることが分かる。
ここまでの内容を元に、「QOL」について整理してみると、次のようになる
ゆえに、今回整理した図表はあくまで「労働時間」「プレッシャー」という評価指標をQOLとしているので、納得する方、違和感を感じる方の両方がいるかと思うが、それは「重視している項目が違う」ことに起因すると考えている。
なので、これを読んでいる読者の諸君は、「この違い」を理解した上で、意思決定等の参考にしていただくと良いだろう。
「別の評価軸の図表も見たいぜ、ミスター!」
という諸君がいれば、お問い合わせもしくはTwitterからどうぞ。
QOLに影響を与える要素
先程、「QOL≒幸せに思っているかどうか」と定義し、『幸せに思っているかどうか←「お金」「時間」「やりがい」「etc」の影響を受ける』と整理した。
では次に、この「お金」「時間」「やりがい」「etc」に影響を与える要因を整理しておこうと思う。
ここまでは診療科毎に整理してみたが、同じ診療科であっても、勤務している病院の形態(急性期 or 慢性期)等により大きく評価が変化するからだ。
例えば、同じ消化器内科であっても、毎日オンコールの消化器内科医もいれば、毎日17時定時上がりの消化器内科医もいたり、胃カメラのバイトのみしている消化器内科医もいれば、開業している消化器内科医もいる。
では、このQOLに影響を与える要素を整理すると、次のようなものが挙げられる。
読者の諸君は、安易に先程の図解のみで判断するのではなく、「その診療科で上記の要素が加わるとどうなるのか」という点まで検討した上で意思決定を進めて欲しい。
まとめ
いかがだっただろうか?
私が今回特に伝えたかったのは、「QOL」という言葉を使っていても、人によって意味している内容が異なるということである。
今回図解した「診療科のQOL早見表」は是非ポリクリの空き時間にポリクリメンバー同士の話題に活用していただけると嬉しく思う。
実際私がポリクリ生だった時には、ポリクリメンバーと「QOLの高い科はどれか?」という話題で大いに盛り上がった。
医師兼会社経営
地方国立医学部⇒初期研修⇒後期研修⇒外資系戦略コンサルティングファーム勤務⇒起業
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